鳥害対策の方法にもいろいろありますが、最もスタンダードで確実な手段の一つが「防鳥ネット(バードネット)」の設置です。ただし、単にネットを張るだけでは十分な効果は得られません。鳥の種類や設置場所の環境に応じて、最適な防鳥ネットを選ぶことが重要です。

この記事では、防鳥ネット(バードネット)の種類や特徴、選び方、設置のポイント、メンテナンスについて、鳥害対策の専門業者の視点から詳しく解説します。

防鳥ネットは鳥害対策に有効?

防鳥ネット(バードネット)は、鳥の物理的な侵入を防ぐ最も確実な方法の一つです。設置することで、鳥が建物内や特定のエリアに入り込むのを物理的にシャットアウトでき、クリーンな空間を確保できます。執着心の強いハトなど鳥も確実に防除でき、糞害や巣作りによる被害を根本から防止します。

防鳥ネットの設置を検討する際の判断基準は、糞害や巣作りなどの「実害」が発生しているかどうかです。ただし、食品工場や物流倉庫のように、糞害による商品の汚損や衛生面での二次被害、顧客への悪影響などが懸念される場合は、リスクマネジメントとして、被害が起きる前の鳥害対策をおすすめします。

防鳥ネットはこんなところに設置する!

防鳥ネット(バードネット)は、防鳥ピン(バードピン)やバードワイヤーでは防ぎきれない、複雑な構造や広範囲の開口部にも対応できるため、多様な現場で活用されています。

【主な設置例】

・マンションのバルコニーや踊り場

・ビル開口部

・商業施設や公共施設の吹き抜け開口部

・工場や倉庫の庇・屋根

・神社・仏閣の軒下

特に、鳥が好んで集まる高所や隙間、複雑な構造の場所では、ネットで開口部を一気に塞ぐことで高い効果を発揮するので、コストパフォーマンスにも優れています。

人の出入りが多い場所には開閉できるカーテンレールタイプやのれんタイプのネットを用いるなど、現場ごとに最適な設置方法が選ばれています。

防鳥ネットの種類と特徴

防鳥ネット(バードネット)には大きく分けて、単線ネット、防球ネット、ステンレスネットの3種類があります。それぞれの特徴や、対策に適した場所を以下にまとめます。

  • 単線ネット
    ・鳥害対策専用に開発されたネットで、1本の線で構成されている。
    ・ポリエチレン・ポリプロピレン製。
    ・細くて軽量、目立ちにくいのが特長。
    ・鳥が絡みにくい構造で、美観を損ねず圧迫感も少ないため、マンションのバルコニーやオフィスビルなど、景観を重視する場所に最適。
    ・施工性も高く、フジナガでは最も提案する機会が多いタイプ。

BF3バードネット 防鳥ネット

  • 防球ネット
    ・ゴルフ場や野球場などで使用される、撚り(より)線構造のネット。主にボールが敷地外に飛んでいくのを防ぐ目的で使用されるが、鳥害対策に用いられることも多い。
    ※撚り(より)線・・・複数の単線を撚り合わせて1本の線としてまとめたもの。
    ・ポリエチレン・ポリプロピレン製。
    ・単線ネットよりも太く強度があり、鳥以外の外的要因への耐久性に優れている。
    ・防炎加工が可能なので、火気や熱源のある工場、火気厳禁の場所など、強度や防炎性が求められる場所に最適。

BS PEバードネット(防鳥ネット)

  • ステンレスネット
    ・ステンレス製
    ・見栄えが良く、意匠性が高いので、ランドマークになるような建物、デザイン性を重視する建物に最適。
    不燃性が高いので、不燃性が必要な建物に最適。
    ・劣化や錆にも強く耐久性が高いので、人が頻繁に出入りできない重要文化財など、長期耐久が求められる建物に最適。

BF3バードネット オールステンレス25/50

防鳥ネットの選び方とは?

防鳥ネット(バードネット)を選ぶ際は、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 対策したい鳥の種類によって網目のサイズを選ぶ
    防鳥ネットは網目の細かさによって対応できる鳥の種類が異なります。フジナガでは15㎜・25㎜・50㎜の3サイズをラインナップしています。以前は50㎜のネットでの対策が主流でしたが、近年は小型鳥対策の需要が増加し、細かい網目が選ばれる傾向にあります。現在は25㎜のネットでの対策が主流です。

・15㎜:スズメなど小型鳥にも対応可能。

・25㎜:ハト・カラス・ムクドリ・ヒヨドリなど中型鳥向け。

・50㎜:カモメなどの大型鳥向け。

  • 設置場所の環境に応じて適したネットを選ぶ
    建物に住む人や働く人に圧迫感を与えたくない場合は単線ネット、強度や防炎性が必要な場所は防球ネット、長期間メンテナンスが難しい場所には耐久性の高いステンレスネット・・・というように、設置場所の環境に適した素材や構造を選ぶことが重要です。
    また、同じ建物でも、設置場所や目的によってネットを使い分ける必要があります。例えば、カモメなど大型鳥の被害が多い魚市場の建物の場合、天井面にカモメが止まらないようにするためには、単線ネットで十分です。しかし、魚の解体や加工作業を行う場所への侵入を防ぐ目的で開口部にネットを設置する際は、強度のある防球ネットでないと難しいでしょう。

防鳥ネットの設置方法

防鳥ネットの設置では、特殊な取付具を使い、しっかりと固定することが重要です。特に高所や複雑な構造の場合は、専門業者による施工が推奨されます。

特に、執着心の強いハトや、わずかな隙間を見つけて侵入しようとするスズメを防ぐため、フジナガでは長年培ってきた鳥害対策の知識や経験を活かし、ネットの目幅だけではなく、取付金具の間隔も鳥の大きさ合わせたピッチにするなど、隙間を極力なくす施工を行っています。

また、フジナガでは、施工場所の状況に合わせて選べる3タイプをご用意しています。

  • カーテンレールタイプ
    工場や倉庫の内部への侵入をシャットアウト。レール式を採用することで、ネット開閉をスムーズに行えます。
    開口部の隙間をなくすために、マグネットや間仕切りポールなどを使用し、美観を損ねることなく対策が可能です。夏場の暑い時期でも風通し良く解放された空間をご提供します。
  • のれんタイプ
    出入りの多い場所で効果を発揮する、低コストで鳥の侵入防止。開口部はネットで区切りたいが完全には固定したくない。人の出入りが多いため、ファスナーによる開閉の手間をなくしたい場所に最適です。「のれん式」なので、人の通り抜けが容易にできます。
  • 耐久タイプ
    強度を要する箇所へ長期的に効果を発揮。降雪・強風により、継続的に負荷がかかる環境下でも長期にわたり防鳥効果、耐久性を維持することが可能です。また、沿岸地域、寒暖差が激しい条件にも対応できる強固な防鳥ネットになります。

当社では、お問い合わせ頂いたご担当者様に無料で「鳥害対策製品 取り付けガイドブック」を送付しています。

当社オリジナルの鳥害対策商品(BF3/BSシリーズなど)を工法別に紹介しており、商品の施工法が一目でわかる仕様なので、新築・改修工事の鳥害対策に役立ちます。

鳥害対策商品 取り付けガイド・各種カタログのご案内

防鳥ネットのメンテナンス

フジナガの防鳥ネットは基本的にメンテナンスフリーで設置しています。高所設置が多いため、専門業者による定期点検が安心です。フジナガでは5年保証を提供し、万一鳥の侵入やネットの破損があれば無償で対応します。

張り替えの目安は、5年程度が一般的です。

  • 安心の5年保証

施工・製品・メンテナンスで5年間の保証をしています(製品は最長5年間)。

「BF3 バードネット」設置後に、鳥の侵入、停滞等が確認された場合は、無料で改善処置を行います。

フジナガの保証

  • メンテナンス・交換・修理が必要なケース

例えば、ネットの内側に配線や設備があり、メンテナンスが必要な場合は、ネットの一部を切って補修したり、ファスナーを付けて容易に開閉できるようにしたりといった対応が可能です。樹脂製のS字フックを付けて、一般の方でも着脱しやすい開口部を設ける特殊な商品もあります。

防鳥ネット、プロによる設置で効果を最大化

鳥害対策の中でも、防鳥ネット(バードネット)は鳥の侵入を物理的に防ぐ最も確実な方法であり、効果的でコストパフォーマンスに優れた方法と言えます。しかし、施工に慣れていない人が施工すると、隙間やたるみ、固定の甘さなどで効果が半減するリスクがあります。防鳥ネットの効果を最大限に引き出すには、鳥害対策専門業者による施工をおすすめします。

フジナガは、鳥害対策専門業者としての豊富な経験をもとに、対策したい鳥の大きさや種類、被害状況、建物の構造に合わせて最適なネット・設置方法を提案いたします。高所作業や複雑な構造の建物でも、安全かつ、隙間なく確実な施工が可能です。

また、アフターサービスとして設置後も定期的な点検やサポートを行っており、万一のトラブルにも迅速に対応し、安心・安全な鳥害対策を実現します。鳥害でお困りの際は、ぜひご相談ください。