私たちの暮らしの中でもっとも身近な鳥といっても過言ではないカラス。
ゴミを漁る、農作物を荒らす、「カァ」という大きな鳴き声・・・そんな問題行動に加え、時には人を襲うという攻撃性や真っ黒なビジュアルもあいまって、人から少し警戒されています。
確かにカラスによる生活環境上の被害は増えていますが、その原因は私たち人が出す生ごみでもあり、カラスは餌が手に入りやすい場所に生息するという本能に従って生きています。

今回はカラスの生態や、被害、対策について詳しく解説します。カラスへの理解を深めれば、共存するためのヒントが見つかるかもしれません!

そもそもカラスってどんな鳥?

01 カラスの種類と特徴

世界に生息する約130種類のカラスのうち、日本では7種類生息しています。
季節を問わず日本のほぼ全域で見られるのが、真っ黒で大きなくちばしの「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」です。越冬のため日本に飛来する渡り鳥の「コクマルガラス」「ミヤマガラス」「ワタリガラス」もいます。これに加え、白と黒のツートンカラーで九州の佐賀平野に生息する「カチガラス(カササギ)」と、茶色に白の斑点が特徴で山岳地帯に生息する「ホシガラス」を加えた7種類が日本で見られるカラスです。

都心で目にするカラスのほとんどは「ハシブトガラス」です。もともと森林を生息域としていましたが、徐々に都市部で生息するようになりました。くちばしが太く、人を恐れず、人の出したゴミを漁って餌を探します。
「ハシボソガラス」は知性の高いカラス属のなかでも特に学習能力が高く、車が通る道路にクルミを置き、車に殻を割らせて食べる賢い行動が有名です。

02 カラスの生態

私たちの身近で鳥害被害を起こす「ハシブトガラス」「ハシボソガラス」の生態を紹介します。

  • 何でも食べる雑食性
    木の実、昆虫類、小動物、動物の死骸まで何でも食べる雑食性です。人が出すゴミに混ざっている生ゴミ、ドッグフードやキャットフードなども食べます。
  • 集団ねぐらで夜を過ごす
    夜間は人と距離をある程度保つことのできる林や竹林で何羽も集まって夜を過ごします。これを「集団ねぐら」と呼んでいます。近年では都市部に進出し、緑の多い公園や神社をねぐらにすることもあります。
  • 警戒心が強い
    警戒心が強く、天敵であるタカ、ハヤブサ、フクロウなど猛禽類の声の聞こえる場所には近づかない習性があります。目新しい物があると「とりあえず近づかない」という行動を取りますが、賢いので、見慣れて危険がないと分かれば警戒心を解き近づきます。
  • 知能が高い
    優れた頭脳を持ち、学習能力が高く、人の7歳児くらいの知能があるとも言われています。その賢さゆえ、ハト向けに作られた鳥よけグッズでは対応が難しいケースがあります。記憶力が良く、自分や巣に危害を加えた人の顔を覚えて攻撃してくるというのは有名な話です。我々もカラス対策をする時はゴーグルをして挑みます。顔をつつかれた時の防御策であり、同時に顔を覚えられないようにする対策でもあります。
  • 情報共有と団体行動ができる
    カラスは地域コミュニティを持ち、仲間同士で情報を共有していると言われています。天敵である猛禽類が近づいた場合など、危機を感知したカラスは鳴き声で仲間たちに知らせ、集団で団結して撃退することもあります。
  • 羽に何かが触れるのを嫌がる
    カラスも他の鳥同様、羽が傷つくことや、何かが羽に触れることを嫌がります。
  • 春から夏ごろは攻撃性が高まる
    2月頃から営巣を始め、3月頃に卵を産みます。7月頃まではヒナを守るため縄張り意識が強く、かなり攻撃的になるので要注意です。巣に近づいた人を無差別に威嚇、攻撃する場合もあります。後ろから頭の上をかすめるように飛んだり、蹴ったりと奇襲攻撃を仕掛けてくるので、怪我をする恐れもあります。
  • 優れた色覚を持っている
    カラスはとても視力がよく、色を識別する能力が高いとされています。食べ物の入ったゴミ袋だけを正確に見分け、わずかな色の違いからでも食べ物を探し当てることができます。視力がよい反面、強い光や乱反射するものが苦手でもあります。

カラスの被害はこんなところに!鳥害を知ろう

カラスの被害は大きく分けて、農村部などで農作物に与える被害と都市部における生活環境上の被害があります。被害総額でいえば、畑の果実や野菜などの農作物被害がダントツです。畑だけではなく、漁村での漁業被害も発生しています。
私たちの身近な暮らしの中で起こる生活環境上の被害は以下のようなものがあります。

  • ゴミを漁り、散らかす
  • 糞で建物や車が汚れる
  • 鳴き声がうるさい
  • 威嚇、攻撃してくる
  • 子どもやペットが襲われる
  • ペットの餌が食べられる
  • 針金ハンガーを持っていかれる

人との摩擦は、カラスの個体数の増加に比例して、年々増加の一途をたどっています。

企業でも出ている!カラスの被害とは?

フジナガではカラスの鳥害に悩まされている企業からの相談も多数寄せられます。その一例を紹介します。

  • 食品を扱う企業
    カラスによる被害が多いのは、農作物などを扱う中央卸売市場や、肉や魚などの食品加工会社、配送する食品を集める物流倉庫です。加工中に落ちたくず肉や魚の骨を狙って群がったり、出荷前のペットフードやポテトチップスなどを袋ごと破り食べてしまったりすることもあります。
  • 電力会社
    カラスは高圧線の鉄塔に巣を作るのを好みます。特に都会のカラスは針金ハンガーで巣を作ることが多く、巣材が絶縁部分をまたぎショートさせ、火事や停電などを引き起こすことが少なくありません。
  • 鉄道会社・航空会社
    鳥と列車や航空機との衝突、いわゆる「バードストライク」は世界規模で問題になっています。飛行機のエンジンと衝突すれば墜落する可能性もあります。ぶつかった衝撃で列車のガラスにヒビが入り、運行継続不能と判断され運休になった事例もあります。
  • 郊外の工業団地など
    カラスは夕方、集団ねぐらのある山に帰る途中で見晴らしのいい建物に一旦集合し、皆で一緒に帰る習性があります。郊外の工業団地などが集合場所になりやすく、カラスの集団による糞害が発生してしまいます。

カラスに有効な鳥害対策

他の鳥と同じく、カラスも「鳥獣保護管理法」によって許可なく捕獲や殺傷、卵やヒナの捕獲、子育て中の巣の撤去は原則禁止されています。フジナガではカラスを傷つけない対策を行っています。

  • 倉庫やビルの屋上の対策
    カラスの頭の良さ、学習能力、情報伝達能力を逆手に取った「電気ショック」が一番有効です。一度でも電気ショックの痛みを体感すると、頭のいいカラスは「この建物は危険!」と学習し、その建物にとまらないだけでなく、そのエリアにさえ近づかなくなります。その上、仲間たちにも「危険な場所だから近づくな!」と情報を伝達してくれるので、集団で寄り付かなくなります。
    当社の「BF3鳥類用電気ショック」は1秒間隔で電流が流れる仕組みです。電気ショックの強さは静電気より少し痛い程度で、カラスを感電死させる事はありません。
    また、5年間の効果保証、製品保証、メンテナンス保証の対象なので、安心して長期的にご使用いただけます。

BF3鳥類用電気ショック

フジナガの保証

  • 農業被害の対策
    農業被害に対しては、剣山型バードピンや、音、光、電磁波超音波による鳥よけ対策は、一時的な効果はあっても慣れてしまえば意味が無く、残念ながらカラスには効果がありません。バードネットで物理的に畑への侵入を防ぐしかありません。

BF3バードネット(防鳥ネット)

  • 物流保管倉庫の対策
    物流倉庫ではパレットにペットフードなどの入った袋を重ね屋外に置いておくこともあると思いますが、バードネットでカラス侵入を防ぐには限界があるので、できる限り野外に荷物は置かないなど、管理する側に自衛する意識を持ってもらう必要があります。カラスも羽に何かが触れるのを嫌がるため、着地しそうな場所にバードピンやバードワイヤーなどを設置することも有効ですが、慣れると地面に降り、歩いてでも入ってきてしまいます。

カラスは知能が高く、さまざまな鳥よけ対策を突破してしまう上に、「危険人物」と認定した人を継続的に攻撃してくることがあります。カラスの被害があっても無理に対策しようとせず、プロに任せることをお勧めします。

家庭でもできる鳥害対策

家庭でできるゴミ出しの対策としては、袋の外から生ゴミが見えないようにする、前夜から出さず、ごみ収集時間に合わせて出すことを心がけましょう。

出したゴミ袋にネットを掛けるだけだと、突いて引っ張り出したり、下から潜ったりする可能があり、不十分です。蓋付き容器や小屋型の集積所などで、カラスからごみを物理的に遮断するのがベストです。

カラスの鳥害対策は長期戦!

カラスの鳥害対策は、私たち人の生活が深く関わるだけに、持続的な対策が必要です。
カラスはハトに次いで忌避対象となることの多い鳥ですが、フジナガにとってもカラスへの対策は永遠の課題です。頭がよい鳥だけに、解決までの道のりは一筋縄ではいきませんが、音や光、匂いなど新たなアプローチによる対策を日々研究しています。

これからもカラスを傷つけることなく、「鳥と人との共生」を軸に、鳥害対策に取り組んでいきます。