立体駐車場の鳥害対策は、近年の商業施設や大型ホームセンターの増加に伴い、ますます重要性が高まっています。限られた土地を有効活用できる一方で、鳥が集まりやすい構造を持つため、鳥害を放置すれば車両への糞の付着によるクレーム、施設全体の美観低下、さらには設備の故障や劣化につながることも少なくありません。

本記事では、立体駐車場における鳥害の実態と具体的な対策について、鳥害対策の専門業者の視点から詳しく解説します。

立体駐車場における鳥害対策の現状

近年、立体駐車場における鳥害対策で増えているのが、商業施設に併設された立体駐車場の案件です。新築の商業施設では設計段階から鳥害対策が組み込まれるケースも多く、鳥害対策への意識の高まりを実感しています。特に郊外を中心に、広大な土地を活用した大型商業施設が増加しており、それに伴い1〜3階構造の立体駐車場も大規模化しています。その結果、対策が必要となるエリアも大幅に広がり、バードネット施工の面積は、以前は大きくて2,000〜3,000㎡程度だったものが、近年では2万㎡を超える大規模案件も発生するようになりました。

立体駐車場で鳥害が発生しやすい理由

立体駐車場は、鳥の目線で見ると非常に魅力的な空間です。外部とつながる開口部が多いため出入りがしやすく、雨風をしのげて、外敵から身を隠すことも出来ます。H鋼や梁、桁の上など、ハトやカラスにとって安心して巣作りや休息ができる環境が整っています。

さらに、駐車場の天井面には、鉄骨などに吹付ける耐火被覆材のロックウール(粒状綿)が施工されていることが多く、この素材が鳥にとっては格好の“巣材”になります。ハトがロックウールの上に巣を作ったり、カラスがロックウールをちぎって巣作りのために持ち帰ったりすることで、天井の断熱材がボロボロになり、駐車フロア全体に散乱してしまう事例が多々発生しています。

また、意匠デザインにこだわって木製のルーバーが採用されたとある商業施設では、小鳥が大量に集まり鳥害が発生した事例もあります。建築材そのものが鳥に好まれてしまうケースもあるのです。
さらに、荷捌き所や搬入口などでは食品を扱う機会も多く、エサ場となるリスクがあります。このような条件がそろっているため、立体駐車場は鳥にとって非常に理想的な生活環境だといえるでしょう。

⇒屋根周辺の鳥害についてはこちらでも詳しく解説しています。

立体駐車場で被害が集中しやすい場所とそのリスク

立体駐車場では特に以下の箇所で鳥害が多く発生します。

天井部のH鋼や梁の上
ロックウールなどの断熱材周辺
シャッターボックスの上
室外機やキュービクル(高圧受電設備)周辺
配管・配線ラック周り

上記のような場所は、単に糞による車両や構造物の汚損にとどまらず、設備の故障にも直結します。実際に、シャッターが糞詰まりで開かなくなる、キュービクルの配線が腐食するといった設備トラブルも発生しています。

屋上の室外機やキュービクル(高圧受電設備)の周辺や架台と床のわずかな隙間なども、鳥が好んで巣を作るポイントです。構造上、人の出入りが少なく、清掃や点検もしづらいため、気がついたときにはかなり被害が進行しているケースが少なくありません。鳥害は糞害だけにとどまらず、設備の維持コストに大きな負担をかける要因となってしまうのです。

⇒キュービクルでの事例ついてはこちらでも詳しく解説しています。

立体駐車場で効果的な鳥害対策

一昔前までは、立体駐車場でもカラスの模型やCD吊り、防鳥テープなど「疑似的な対策」が多く見られましたが、現在はより効果の高い物理的対策が主流です。鳥の侵入と停留を防ぐために、それぞれの商品をどこに設置するかという複合的な対策が必要です。

  • バードネットを使用した侵入防止策 
    鳥の侵入経路となる開口部や、営巣されやすい天井面にバードネットを張り、物理的に鳥の侵入や滞留、営巣を防ぐ、最も確実な方法です。

    従来は、コストを抑える目的から、側面の開口部だけにバードネットを張るケースが一般的でしたが、側面だけだとどうしても出入口や屋上に上がるスロープ部分から鳥が侵入してしまいます。現在増えているのが、天井面全体を覆う防鳥ネットの施工です。駐車場内に鳥が侵入しても、天井面に入り込めないので、高い防鳥効果が期待できます。

    バードネットの大きなメリットは、フェンスなどの硬い構造物と比べ、加工がしやすい点です。点検や設備工事に備えてファスナー付きの開口部を設けたり、配管やダクトなどを避けながら柔軟に施工することが可能です。ただし、慣れない業者が下手にネットを切って加工してしまうと、そこが新たな侵入口となる可能性があります。そのため、開口部の追加や加工が必要な場合は、専門業者に依頼することが重要です。

BF3バードネット (防鳥ネット)

BF3バードネット オールステンレス25/50

  • ピン・ワイヤーを使用した停留防止対策
    ハトは建物に入る前に一度どこかに止まって様子を見る習性があります。シャッターボックスの上や配管の上、屋上の端部など「一時停留場所」となりそうな場所にバードピンやバードワイヤーを設置し、滞留自体を防ぎます。

BF3バードピン 防鳥ピン

BSバードワイヤー 防鳥ワイヤー

BSバードワイヤー 防鳥ワイヤー

⇒ハトの生態、習性についてはこちらでも詳しく解説しています。

  • 電気ショックで最初から鳥を寄せ付けない
    建築時に鳥害対策を織り込む場合は、屋上に電気ショックを装置するのがおすすめです。鳥を最初から近寄らせない、予防効果が高い対策です。
BF3鳥類用電気ショック

BF3鳥類用電気ショック


また、BF3バードネットと電気ショックは5年間の効果保証がついているのもポイントです。実施後に鳥の侵入、停滞などが確認された場合は無料で改善処置を行っています。
フジナガの保証
各対策を組み合わせることで、侵入防止と停留防止を両立させ、より高い効果が得られます。

被害が出る前の鳥害対策で、施設の価値を守る

立体駐車場での鳥害は、放置すれば糞害や設備トラブル、清掃負担の増大、利用客からのクレームなど、さまざまな問題を引き起こします。こうした複合的なトラブルを防ぐためには、一時的な対策ではなく、効果の持続性・メンテナンス性・美観・コストを踏まえた総合的な対策が不可欠です。また、新築時から鳥害対策を組み込んでおけば、高い防鳥効果が長期的に維持でき、清掃費の削減にもつながります。

実際に対策後、管理センターの担当者から「糞の清掃作業が不要になり、とても助かった」という声も寄せられており、清掃負担の軽減効果は非常に大きいと言えます。

今や鳥害対策は、景観・ブランド維持やコスト削減の観点から、施設価値を守るための必須施策となりつつあります。快適で安心できる駐車環境を維持するためにも、立体駐車場の鳥害対策は“被害が出る前に”実施することが重要です。

下記のように立体駐車場での鳥害対策実績も多数あります。

フジグラン広島

海遊館(大阪)

イオン土浦ショッピングセンター

鳥害にお困りの際は、ぜひご相談ください。