日本の歴史や文化を象徴する貴重な存在、寺社仏閣や文化財建築物。初詣やお参りに訪れる参拝客から、国内外からの観光客などたくさんの人が訪れる場所でもあります。
寺社仏閣と文化財建築物での鳥害は以前から発生していましたが、鳥害対策アイテムを施工することにより大事な文化財を傷つけたくない、見た目を変えたくないなどの理由から、対策を諦めてしまうケースも多々ありました。しかし近年では、観光客の増加に伴い美観や衛生面への意識が高まったことや、美観を損なわない鳥害対策アイテムが増えたこともあり、寺社仏閣や文化財建築物への鳥害対策が注目されています。

本記事では、鳥害から寺社仏閣と文化財建築物を守る重要性や、効果的な防止策について、鳥害対策の専門業者の視点で詳しく解説します。

鳥害が寺社仏閣や文化財建築物に与える影響

鳥害は以下のような形で寺社仏閣や文化財建築物に深刻な影響を及ぼします。

  • 建物へのダメージ
    ハトの糞には酸性成分が含まれており、木材や石材、瓦屋根などの伝統的な建築物を腐食させる原因となります。また、巣作りによって屋根瓦や装飾部分が損傷する可能性もあり、建物の美観を損ねるだけでなく、保存状態にも悪影響を及ぼします。
    寺社の中には、国の重要指定文化財に指定されている建築物も多く存在します。こうした建物が被害を受けると、塗装の劣化のみならず木材そのものの腐食が進行する恐れがあります。その場合、修繕にかかる費用は膨大なものとなり得ることは容易に想像できるでしょう。それによって歴史的・文化的価値にも深刻な影響が及ぶ可能性があります。
  • 美観や衛生面の問題
    鳥害による糞害は、美観を損ねるだけでなく、悪臭を放ったり、糞が衣服に付着したりするリスクも伴います。加えて、鳥の鳴き声による騒音被害も発生するかもしれません。これらの要因が重なり参拝者や観光客に不快感を与え、観光地としての魅力を低下させる可能性もあります。
    さらに懸念されることは公衆衛生上のリスクです。特にハトの糞にはクリプトコッカス菌やオウム菌など病原菌が含まれている可能性があり、参拝者や観光客に健康被害を及ぼす危険性も認識しておく必要があります。
  • 信仰や文化活動への影響
    当社に寄せられた相談の中には、ハトの糞が長年放置され、30cmほど山積みになっていた事例がありました。このような状態になると、境内の一部が利用できなくなり、信仰活動や文化行事に支障をきたす恐れがあります。例えば、大量の糞によって参道が汚染されれば、参拝者の動線が制限されることにもつながります。何より、神聖な場所が鳥の糞で汚されている状態は、訪れる人々に良い印象を与えるものではありません。
    また、参拝客がカラスなどに襲われる事例もあり、安心して参拝できる環境が損なわれる可能性もあります。

⇒代表的な4大鳥害についてはこちらでも詳しく解説しています。

鳥害の主な原因と被害を受けやすい場所

当社の経験から、寺社仏閣や文化財建築で被害をもたらすことが多い鳥として、以下の鳥が挙げられます。

■ 被害をもたらす鳥の種類
・ハト
・スズメ
・カラス
など

寺社仏閣は自然環境に囲まれた場所に位置していることが多く、鳥にとって居心地の良い環境となっています。観光客の食べこぼしの恩恵にあずかる機会も多く、食べ物に困ることもないでしょう。また、木と木を組み合わせ隙間も多い建物の構造は、巣を作るのに最適であると考えられます。

巣作りに好まれる場所の条件や具体的な場所としては以下のようなものが挙げられます。

■ 巣作りの場所として好まれる条件
・屋根があり雨風をしのぐことができる
・人の気配があり天敵が寄りつかない
・人の手が届かない高いところや狭い隙間

■ 被害が起きやすい場所
・破風(屋根の端っこにある山形の部分)
・梁と柱の上部
・屋根や軒下
・回廊(外廊下)
・本堂や社殿の彫刻部分、その裏側

寺社仏閣や文化財建築物の鳥害対策で気をつけるべきこと

歴史的建造物である寺社仏閣や文化財建築物における鳥害対策は、伝統的な建築様式や文化的価値を保持するため、特別な配慮が求められます。鳥害対策を行う際には、以下のポイントが重要です。

  • 美観を損なわない対策
    建物の外観が持つ歴史的・文化的価値を保つことが最優先であり、さらに、観光地や参拝の場として多くの人々が訪れるため、目立たない形状や色調の防鳥ネットやワイヤーを選ぶことが推奨されます。
  • 長期耐久性と低頻度施工
    日本の歴史や文化を象徴する重要な資産であり、その美観や構造を維持することが求められるため、頻繁な施工は建物の美観を損ねる可能性もあります。そのため「一度施工したら数十年持たせたい」と考えられる傾向にあるので、耐久性の高い素材や設置方法を選択することが重要です。
  • 専門業者と建物所有者による綿密な打ち合わせが必要
    重要文化財を守るためには、建物構造の特性に十分配慮した施工方法を慎重に検討することが不可欠です。例えば、「この木材は絶対に傷つけてはいけない」「この部分ならビスを打っても問題ない」といった具体的な指示を事前に明確化し、施工業者と建物所有者が綿密な打ち合わせを行うことが求められます。
    さらに、鳥害対策の専門業者に相談することで、鳥を寄せ付けない効果的な対策を講じるだけでなく、美観を損なわず、耐久性にも優れた設置方法や防鳥アイテムを提案してもらうことが可能です。

寺社仏閣や文化財建築物で効果的な鳥害対策

上記のポイントを加味した上で、鳥を物理的に寄せ付けないような鳥害対策を行う必要があります。

寺社仏閣や文化財建築物の対策で一番多いのが、鳥が巣を作りやすい場所全体を覆う防鳥ネットを張り、鳥の侵入を防ぐ方法です。
当社のオールステンレス防鳥ネットは、細い網目や建物に調和するカラーリングで、美観を損ねることなく効果的に鳥害を防ぐことができます。オールステンレスなので劣化や錆にも強く耐久性に優れているので、寺社仏閣や文化財建築物への施工事例は多く、大変喜ばれています。

BF3バードネット オールステンレス50(オールステンレス防鳥ネット)

神社仏閣では、外周にワイヤーで枠を作って、その中ネットを貼るという施工方法を実施するケースもあります。

BSバードワイヤー 防鳥ワイヤー

BSバードワイヤー 防鳥ワイヤー

現時点で施工時例は少ないですが、電気ショックも鳥を寄せ付けない効果的な方法になります。電気ショックの特性上、倉庫の屋上のような障害物のない箇所への設置が向いていますが、寺社仏閣や文化財建築物のような構造が複雑な建築物でも、配線の工夫や配線カバーを目立たせない改良などを加えることで、導入は可能になります。今後取り入れていきたい方法のひとつです。

BF3鳥類用電気ショック

BF3鳥類用電気ショック

寺社仏閣と文化財建築物の鳥害対策は専門業者への相談が必須!

歴史的建造物である寺社仏閣や文化財建築物を鳥害から守ることは、日本の歴史・文化を未来に継承するために重要なことです。伝統的な建築様式や文化的価値を保持するためには、鳥害対策にも特別な配慮が必要です。美観を損なわず、建物の保存状態を維持し、且つ、鳥を傷つけることのない方法を選びながら、適切な対策を行うことが求められます。
フジナガは、「鳥と人との共生」を社是とし、鳥を傷つけない鳥害対策アイテムの開発や、鳥の生態保全を前提とした鳥害対策の推進に取り組んでいます。

寺社仏閣や文化財建築物など、特殊建造物への施工経験も豊富な鳥害対策プランナーが、現地調査の上、現場の状況や条件にあったプランをご提案し、お客様の鳥害対策へのご理解とご安心をサポートさせていただきます。施工方法・資材への疑問や不安をお持ちの方はお気軽にご相談下さい。

下記のように寺・神社への鳥害対策実績も多数あります。

寺・神社 | 鳥害対策実績

鳥害にお困りの際はぜひご相談下さい。