
全国各地で活躍するフジナガ社員たちが、日々の経験から得た知見や業界トレンドを臨場感たっぷりにお伝えする新企画「現場発!鳥害対策のリアルストーリー」。
第四回目となる今回は、中国支社で支社長を務める中村健一さんにインタビュー。
ハト以外のさまざまな鳥を対象とした対策実績を持つ中村さんに、ムクドリや海鳥への対策エピソードや中国エリアならではの鳥害事情について伺いました。

中国支社長 中村健一さん
ムクドリの対策事例
中国支社ではどのような建物や施設での実績がありますか?
広島県広島市を拠点に、鳥取、島根、岡山、山口を対応エリアとして活動しています。大学や病院、商業施設、高架橋、工場など、さまざまな規模の建物での実績があります。広島空港や出雲縁結び空港、松江城などの鳥害対策も承りました。対策の対象となる鳥はやはりハトが多いですね。
中村支社長はムクドリの対策のご経験もあるそうですね。
はい、ムクドリ対策の経験もあります。事例紹介の前にまずは、ムクドリについて簡単に説明しましょう。
- 分類:スズメ目ムクドリ科ムクドリ属
- 体長:約24cm。スズメよりやや大きく、ハトより小さい
- 見た目:全体的に灰色がかった黒褐色。目の周囲から頬にかけて不規則な白斑あり。くちばし、足は黄色
- 分布:日本国内のほぼ全域に分布する留鳥
- 生息地:低地の平野や低山地にかけて広く生息し、農耕地や公園、都市部の人家付近でもよく見られます
- 食性:雑食性。植物の種子や果物、虫など
- 営巣場所:木の洞や人家の軒先などの穴
- 繁殖:3月~7月
- 特長:秋〜冬の非繁殖期は群れを作ることが多く、数百~数千羽で群れを作り集団ねぐらを作ることもあるため、鳴き声による騒音や糞による被害が問題になっています
▼ ムクドリの習性について詳しくはコチラ

確かに、ムクドリといえば大群で飛び回るイメージがありますね。
そうですね。ただ、今まで私が対応した現場では数百羽の大群ではなく、数十羽の群れによる被害がほとんどでした。
数羽のハトが住み着いただけでも被害が大きいのに、数十羽となると大変ですね。
そうですね。例えば私が対応した事例ですと、倉庫に昼間だけムクドリが数十羽やってきて、夜になるといなくなるが、糞害や鳴き声の騒音被害で困っているというご相談でした。私の経験上、ムクドリが建物に住み着いたケースは少ないのですが、この倉庫もねぐらに帰る途中の立ち寄りスポットになってしまったのではないかと推測されました。

なぜ、その倉庫がムクドリに気に入られたのでしょうか?
倉庫の雨どいと建物の隙間に穴が開いていて、そこからムクドリが侵入していました。雨どいが詰まって水が溜まり、虫が発生し、水飲み場兼エサ場となっていたと考えられます。
その現場では、どのような対策をされたのですか?
住み着いているわけではないので、侵入口に防鳥ネットを設置するだけという、比較的簡単な対策で済みました。
ムクドリはスズメより大きく、ハトより小さいので、網目が15mmと小さめのネットを使用しました。

ウミネコの対策事例
ウミネコなど海鳥対策の経験もあるそうですね?
はい。沿岸部や港の周辺ではウミネコの被害も少なくありません。でも、ハトと違って建物内部には侵入しないため、対策としては主に、建物の屋上や庇の上に止まれないように防鳥ピンや防鳥ワイヤーを設置するのが一般的です。ウミネコは体が大きく足も長いので、大型の鳥に対応した、横幅200mm、高さ135mmのBF3バードピン(オールステンレススーパーワイド)を使用します。

▼ 防鳥ピンについて詳しくはコチラ

▼ カモメ(ウミネコ)の習性について詳しくはコチラ

ウミネコの対策で印象に残っていることはありますか?
卵やヒナは天敵の猛禽類に狙われることがあるので、繁殖期のウミネコはカラスと同じように攻撃的になります。我々が対策のために巣に近づいた際、ぶつかるくらいに近くをサッと飛んで威嚇されたことがあります。
ウミネコの被害が多い場所といえば沿岸部の漁業関係の施設などが浮かぶと思いますが、近年では、屋上緑化された都会のマンションでの被害が増えています。鳥たちもだんだん舌が肥えてきて、「都会のエサのほうが美味しい」と都会に進出しているのかもしれません。あくまで私の想像ですけどね(笑)。

中国エリアならではの鳥害対策の工夫
四国エリアならではの対策の工夫はありますか?
中国地方は中国山地を境に気候が大きく異なり、山陰と山陽に分かれます。特に中国山地沿いや鳥取県内陸部では雪積が多いため、施工方法を工夫しています。積雪の負荷を考慮して、他のエリアよりも頑丈に施工するように心がけています。積雪でネットが破損する可能性が高い場合は正直に施工をお断りすることもあります。
オールステンレスネットは耐久性が高いと聞きましたが、積雪地域にも適しているのでしょうか?
オールステンレスネットは耐久性が高い反面、建物への負荷も大きくなります。例えば、建物の吹き抜けにネットを張れば鳥が入ってこなくていいだろうと思われるかもしれませんが、ネット自体に雪が積もると重みでネットを取り付けた部分の壁面が破損する恐れがあります。
「鳥の害から守ったけれど、建物が壊れました」なんて、本末転倒ですからね(苦笑)。その場合はファスナーで開閉する脱着式のネット設置を提案し、雪の季節にはお客様自身で取り外していただくようにしています。
▼ 防鳥ネットについて詳しくはコチラ

フジナガは全国どこへでも、ベストソリューションを迅速にお届けしています。これからも、地域のニーズに沿った鳥害対策をご提案し、地域社会に貢献してまいります。
中国地方ならではの興味深い話が聞けました。ありがとうございました。