前回は鳥と人間との共生を視野に入れた5つの鳥害対策をご紹介しましたが、その中で一番メジャーなのが、剣山(バードピン)を使った対策です。さまざまな場所に取り付け可能で、女性でも設置しやすい剣山(バードピン)ですが、鳥害対策の専門業者だけでなく、ホームセンターや100円ショップでも取り扱いがあり、手に入りやすいので、最初のお試しとして選ばれやすい対策です。値段や素材、ピンの長さや形が違うさまざまな種類がありますが、鳥の種類や設置場所、被害状況に合わせて選ばないと、効果がない場合があります。
今回は剣山(バードピン)を選ぶ際のポイントや設置の注意点などについてご説明します。

剣山(バードピン)は鳥害対策に有効?

「剣山」といえば、華道の道具で使う土台からたくさんの針が突き出た「櫛(くし)」のようなものが思い浮かぶのではないでしょうか。鳥害対策で利用する剣山(バードピン)も、同じように土台から細い針が突き出たものになりますが、ベランダや看板の上にも設置できるよう、土台が細長くスリムな形になっています。また、防鳥専用のものは鳥を傷つけないよう先端が尖っていない針(ピン)になっているのが特徴です。なぜなら、鳥獣保護法により鳥に危害を加えることが禁じられているからです。

剣山(バードピン)は、鳥が止まりそうな場所に設置することで、物理的に着地できないようにすることができます。設置場所や被害状況に合った剣山(バードピン)を選び、きちんと設置すれば高い効果が得られる一番メジャーな鳥害対策といえます。ただし、実はスズメなど小さい鳥には剣山(バードピン)はほとんど効果がありません。基本的にはハトより大きな鳥に対して行う対策です。
ハトやカラスがすでにその場所に強い執着を持っている場合は、剣山のピンの高さが低いと効果がない場合もあるので要注意です。

剣山(バードピン)はこんなところに設置する!

「最近ここによく止まっている、この下によく糞が落ちている」と感じた場合は、その場所になるべく早く剣山(バードピン)を設置するのをおすすめします。一度鳥が「ここは安全な場所」だと認識し、気に入ってしまうと、巣を作ってしまう可能性もあります。場所に対する執着度が高くなる前に、剣山(バードピン)で「まずは止まらせないようにする」対策をしましょう。

剣山(バードピン)は、民家のベランダや手すり、エアコンの室外機の上や塀の上、店舗の看板の上、出窓の上、シャッターボックスの上など、限られたスペースの割に被害が多い場所や、見た目の問題などから防鳥ネットを設置できない場所に最適です。
マンション、ビル、公共施設の屋上やエントランスの外周、駅の標識の看板の上など、多くの人が行き来する建物では被害が起きる前の防鳥を目的として設計段階から剣山(バードピン)を設置するのがおすすめです。

剣山(バードピン)の種類とその効果

当社のような鳥害対策の専門業者だけでなく、ホームセンターや100円ショップで手に入りやすいのも剣山(バードピン)の利点です。
さまざまな種類の剣山(バードピン)が売られていますが、主にステンレスタイプか樹脂タイプのものに分かれます。

ステンレスタイプの特徴

  • 耐久性が高く経年劣化しにくい
  • 樹脂タイプの剣山に比べ針が細い
  • 針が細いので鳥が止まりにくい
  • 見た目の圧迫感が少なく、景観を損ねない

樹脂タイプの特徴

  • 100円ショップやホームセンターなどで手に入りやすい
  • 低コストで購入できる商品もある
  • 樹脂タイプの剣山に比べ針が太い
  • 鳥の執着心が強い場合は上に止まる場合がある
  • 葉っぱや枝を中に敷き詰め巣を作る場合がある

当社でも両方のタイプの取り扱いがあります。
ステンレスタイプは、ピンがステンレス、土台部が樹脂のBF3バードピン スタンダードと、ピンも土台部もステンレスのBF3バードピン(オールステンレススリム)があります。どちらもピンの先端は尖らない形状なので、鳥を傷つけることもありません。
V字のピンが交互にずれて並んでおり、正面から見るとW型になっています。針が細いので上に鳥が止まりにくい設計になっています。美観を損ねないシンプルなデザインなので、看板上など目立つ場所での設置にもおすすめです。

BF3バードピン スタンダードの土台部は樹脂ですが、劣化や悪環境にも強く長期間利用できる「三菱製ポリカーボネート樹脂ユーピロン」を使用しています。オールステンレスに比べてコスパが良いこと、土台部分のカラー展開が多いので設置場所に合わせて選べることもポイントです。

BF3バードピン スタンダード

BF3バードピン(オールステンレススリム)はオールステンレスなので、より劣化や悪環境にも強く、長期間ご利用いただけます。

BF3バードピン(オールステンレススリム)

BF3バードピン(樹脂タイプ)は、樹脂製のピンで鳥を傷つけることもありません。グラスブドーム構造(意匠登録出願中)を採用し、接着で強力に取り付けることが可能なので、専用の取り付け金具などが不要で簡単に設置できるのがメリットです。

BF3バードピン(樹脂タイプ)

剣山(バードピン)の選び方とは?

剣山(バードピン)は素材の違いだけではなく、ピン(剣山)の高さや幅にもたくさんの種類があります。選ぶ際に重視すべきは、ピンの高さです。ハトやカラスなど中型から大型の鳥の着地を防ぐには、ピンの部分にある程度の高さが必要です。鳥は羽根に何かが触れるのを嫌がるので、足の長さも考慮し、100mm以上の高さがあると効果的です。

当社のBF3バードピン スタンダードはピンの高さが111mmあります。ステンレスタイプは針が細いこともあり、ハトなどの中型の鳥は上から止まることができません。

BF3バードピン(オールステンレススーパーワイド)はピンの高さが135mmあるので、大きいトンビ、タカ、カモメなどにも効果的です。

BF3バードピン(オールステンレススーパーワイド)

当社のバードピンは、ピンの幅が50 mm 、100 mm 、150mm、200 mmと、スリムなモノからワイドなものまで取り揃えていますので、設置場所によって選ぶことが可能です。

一方、BF3バードピン(樹脂タイプ)のピンの高さは100mmですが、特にハトなど執着心が強い鳥は、その場所を気に入ってしまった後だと多少の障害があってもなんとかして止まろうとします。特に樹脂タイプの剣山(バードピン)の場合は、隙間を見つけて止まったり、剣山の間に木の枝などを置いて埋め尽くし、巣を作ってしまったりすることもあります。
鳥の種類や被害状況によって、適切な素材やピンの高さを選ぶことが重要です。

剣山(バードピン)の設置方法と注意点

剣山(バードピン)は、ビス、ボンド、結束バンドなどで取り付けることができ、女性でも簡単に設置が可能です。
例えばベランダに設置する場合は一番向こう側、つまり鳥が飛んでくる側に並べるような形で剣山(バードピン)を置きます。設置時に注意するべき点は、隙間を作らないようにすることです。ピンとピンの間、ピンと壁の間に数センチの隙間があると、鳥が着地してしまうこともあります。寸法に合わせて商品をカットし、隙間を作らないようにしましょう。

また、執着心の強い鳥は、少しの足場があれば足をかけようとすることがあります。鳥が飛んでくる側は、本体の土台部をギリギリに設置すると、より効果的です。室外機の上やマンションの出窓、窓上の長めの庇(ひさし)など奥行きが広い場所で、すでに被害がある場合は、完全に止まれないよう剣山(バードピン)を敷き詰める方がいいでしょう。

剣山(バードピン)はプロが設置するとこう違う!

剣山(バードピン)の設置において、高所など設置の難易度が高い場所は、プロに依頼する方が安全です。また、プロに依頼すると、より効果的な設置ができるのも大きなメリットです。
慣れない人が設置をする際、景観や見栄えを気にするあまり、中途半端な設置を行ったため効果が出ず、かえって被害を拡大させてしまうケースも少なくありません。

剣山(バードピン)の最大限の効果を得るために大事なのは、ピンの向きです。
当社のBF3バードピンはV字のピンが交互にずれて並んでおり、正面から見るとW字になっています。

斜め横に針が突き出ているのでV字の横からと上からの飛来に対しては強い防御力を発揮しますが、正面方向からの侵入は少し弱い側面があります。また、ピンを敷き詰めた際、列の隙間に鳥が侵入することもあります。ですから、まず設置する場所の外周はすべてV字のピンが外側を向くように設置します。
このピンの向きを踏まえて設置しているかどうかが、プロが行う設置の1番のポイントになります。また、鳥の種類によって効果的なピンのタイプも違ってきますし、どこに設置すべきか、どういう配置で置くべきか、一般的な知識では判断が難しい場合もあるでしょう。
プロはそれぞれの鳥の生態を熟知した上で、被害状況をふまえ最適な対策を提案できるのが最大の強みです。

剣山(バードピン)の効果を最大限にするには
プロに設置してもらうのもおすすめ

さまざまな種類がある剣山(バードピン)。いくら性能や耐久性が優れた商品を選んでも、設置の仕方が悪いと効果が出ないこともあります。
特に、公共施設や商業施設、工場や倉庫など、人の出入りが多く鳥害の被害が大きくなると困る施設では、鳥害対策に特化したプロの業者への依頼を検討することをおすすめします。

フジナガは、「鳥と人との共生」を社是とし、鳥を傷つけない鳥害対策アイテムの開発や、鳥の生態保全を前提とした鳥害対策の推進に取り組んでいます。
鳥の生態を熟知した上で、効果的な設置をすることが可能ですので、鳥害にお困りの際はぜひご相談ください。