
ゴルフ場は豊かな自然に囲まれ、多くの野鳥や動物にとって魅力的な生息地となっています。しかしその一方で、カラスなどによる鳥害が頻発し、ゴルフ場の運営やプレー環境にさまざまな影響を及ぼしています。鳥と人が共生できる環境づくりのため、効果的な対策が求められています。
この記事では、ゴルフ場における鳥害の現状と対策について、プロゴルファーの声や鳥害対策の専門業者の視点を交え、詳しく解説します。
ゴルフ場で被害を出す鳥の種類と被害の一例
ゴルフ場における鳥害は多岐にわたりますが、主な例としては以下のようなものが挙げられます。
- カラスによる被害
・プレイヤーが持ってきている食べ物や飲み物を持ち去る。
・ゴルフボールをくわえて持ち去ってしまうことがあり、プレー進行や競技の公正性に影響を及ぼす。
・大群での鳴き声が騒音となり、プレイヤーの集中を妨げる。
・営巣期には人への威嚇行動が見られることもある。
・糞害による、景観の悪化や衛生リスクが発生。

- ハトによる被害
・グリーンやカート道、ベンチ、クラブハウス周囲での糞害。
・乾燥した糞が粉塵となって舞い上がることで呼吸器系疾患や感染症のリスクが発生。
・クラブハウスへの営巣、糞害により施設の腐食や破損に繋がることも。

- ツバメによる被害
・3月~9月にゴルフ場での営巣が増加。クラブハウス周囲に糞害が発生。ただし、「ツバメの巣は縁起がいい」とのイメージにより問題視されないケースもある。

ハト・カラスの生態についてはこちらでも詳しく解説しています。



プロゴルファーが語る、現場での鳥害実例
当社とスポンサー契約を結んでいる、プロゴルファー・植手桃子選手からも、鳥害がプレーに及ぼす影響について以下のような声が挙がっています。
「カラスが、カートバッグのファスナーを開けて食べ物やジュースをくわえて持って行くのを目撃したことがあります。人が離れた隙を狙ってカートのそばに来るので、取りやすいタイミングやエサがある場所をわかって近づいているんだなと、その賢さには驚かされます。
ゴルフは自然の中で行うスポーツなので、コース内に鳥や動物がいるのは当たり前だと思ってはいますが、ゴルフ場の中には、カラスが怖いくらいに群生しているところもあります。プレー中もずっと頭上でカーカーと鳴いているので、集中力を欠く要因にもなり、それは少し困りますね」
こうした現場の声からも、鳥害がプレーの質に与える影響の大きさがうかがえます。

ゴルフ場で鳥害対策が必要な理由
クラブハウスのエントランスなどが糞で汚れていると、ゴルフ場のイメージが大きく損なわれてしまいます。また、大切なゴルフ道具に糞が付着すると、利用者に不快感を与え、満足度の低下につながります。
また、カラスによる被害が多いことが利用者の間で知られている場合、ゴルフ場の利用を敬遠される恐れもあります。
このように、鳥害はコースの美観だけでなく、プレイヤーの安全や快適なプレー環境にも悪影響を及ぼします。したがって、鳥害対策はゴルフ場運営において不可欠だといえるでしょう。

ゴルフ場での効果的な鳥害対策の方法
ハトやツバメによるクラブハウスやカート置き場での営巣を防ぐためには、鳥が止まりやすく巣を作りやすい場所にバードネットを設置し、物理的に鳥の侵入や滞留を防ぐ対策が最も有効です。建屋の構造にもよりますが、当社では主に、バードネット、バードピン、忌避剤の3つを用いています。
- バードネット
クラブハウスやカート置き場などに防鳥ネットを設置することで、鳥の侵入を防ぎます。当社のBF3バードネットは、特殊取付具を使用することで取付先を選びません。隙間無く取付られるので、クリーンな空間を確保でき、頑固な鳥も確実に撃退します。

- バードピン
ネット設置が難しい場所にはバードピンが最適です。当社のバードピンはカラーバリエーションや素材が豊富です。ピンの部分がステンレス製で、設置しても目立ちにくいのが特徴です。土台は耐久・耐候性に優れた最高級グレードの樹脂「ポリカーボネート」製で、透明、アイボリー、ベージュ、赤茶、グレー、黒の6色をご用意。設置場所の色に合わせることで美観を維持することが可能です。

BF3バードネットは5年間の効果保証がついている点もポイントです。実施後に鳥の侵入、停滞などが確認された場合は無料で改善処置を行っています。
- 忌避剤
・ツバメは何もない壁に巣を作るので、バードネットはあまり効果がありません。ツバメが巣を作りそうな出っ張りなどに忌避剤を使用することもあります。鳥が嫌う匂いや味を持つ忌避剤を使用することで、鳥の寄り付きを防ぎます。

ゴルフ場でのカラス対策のポイント
ゴルフ場で最も多いカラスの対策については、そもそもカラスの生息地である自然の中にゴルフ場が作られているという背景があり、すでに安定して餌が食べられる餌場と認識されている可能性が高く、対策は非常に難しいのが現状です。住宅地のゴミ集積場でのカラス対策と同様に、どれだけ工夫しても、学習能力の高いカラスに突破されてしまう、いわゆる「イタチごっこ」になる可能性が高いのが実情です。
カラスは、カートのどこに物が置かれているか、どこに食べ物が入っているか、人間がカートを離れているタイミングなど、常に観察し、学習しています。そのため、最も効果的な対策は、コース内に食べ物を持ち込まないことです。持ち込む場合は、カートに放置せず、バッグの中にしまい、ファスナーをしっかり閉めるなど、簡単に取り出せないように工夫しましょう。こうした管理を徹底することで、「簡単に食べ物を奪えない」とカラスに認識させることが重要です。

ゴルフ場での鳥害対策、今後の展望
近年は超音波や音、光を利用した鳥害対策も試みられていますが、鳥がすぐに「特に害がない」と学習し、慣れてしまうので、一時的な対策にとどまっているという印象です。
最近は、コース説明をするのにドローンの映像を使っているゴルフ場も増えています。ゴルフとドローン、鳥害とドローンの親和性の高まりを感じますし、今後、ドローンやAI技術を活用した対策が進むことで、より効果的な鳥害対策が期待され、注目を集めています。
当社でも、最新テクノロジーを駆使した鳥害対策製品の開発に全力で取り組んでいます。

プレイヤーの快適性と、鳥の生態系保全の両立が重要
鳥による被害は、プレイヤーの快適なプレーを妨げるだけでなく、施設のイメージにも影響を与えるため、効果的な対策を講じることはゴルフ場の運営において重要な課題です。
ゴルフ場での鳥害対策は、単に鳥を追い払うだけでなく、鳥の生態や行動特性を理解しつつ、景観や安全性、生態系保全とのバランスを考慮した多面的なアプローチが求められます。
当社が提案させていただく鳥害対策プランは、一時的に鳥が飛来しないような対策ではなく、美観面、効果面、コストバランスを考慮し、また、効果の継続や設備等のメンテナンスも考え丁寧に対策施工させて頂いております。
ゴルフ場での鳥害にお困りの際はぜひご相談ください。
