
鳥害対策には防鳥ネットや剣山(バードピン)などさまざまな方法がありますが、中でも「防鳥ワイヤー」は高い効果と意匠性を両立でき、さらにコストパフォーマンスにも優れたアイテムです。この記事では、防鳥ワイヤーの種類や特徴、選び方、設置のポイントについて、鳥害対策の専門業者の視点から詳しく解説します。
鳥害対策におけるワイヤーの重要性
防鳥ワイヤーは、鳥が止まりやすい屋根の周辺や端部に張ることで、物理的に着地を防ぐ対策です。バードピン(防鳥ピン)と比べて目立ちにくく、新築ビルやマンションなど景観を重視する場所でも選ばれやすいのが特徴です。また、耐久性も高く、長期間の使用にも耐えられるため、コストパフォーマンスにも優れています。
防鳥ワイヤーの設置を検討する際の判断基準は、糞害や巣作りなどの「実害」が発生してから行う「鳥害対策」というよりも、鳥が寄り付く前にあらかじめ設置しておく「防鳥対策」の側面が強いアイテムと言えます。


防鳥ワイヤーには大きく分けて無被膜ワイヤーと被膜ワイヤーの2種類があります。それぞれの特徴や、対策に適した場所を以下にまとめます。
- 無被膜ワイヤー
・ステンレス製のワイヤー。被膜のないシンプルな見た目で、景観に溶け込みやすい。
・意匠性の重視など特別な要望がない限りは、フジナガでは無被膜ワイヤーを提案することが多い。
・切断時に線がバラけやすく、施工時に手に刺さるリスクがあるため、取り扱いには注意が必要。

- 被膜ワイヤー
・ステンレスのワイヤー表面にナイロンなどの被膜コーティングを施したタイプ。
・切断しても線がバラけにくく、施工性が高いのが特長。
・ 黒やシルバーなど、色のバリエーションがあり、壁面の色に合わせることで目立ちにくくすることが可能。
・コーティングにより、もらいサビ(他の金属のサビ汁が付着して生じるサビ)からワイヤーを守る効果がある。

ワイヤー設置の方法とポイント
防鳥ワイヤーの設置には、いくつかのポイントがあります。
- 設置場所
特に、鳩が好んで止まる建物の「端部」に重点的に設置すると効果的です。鳥の停留を防ぎ、糞害などの鳥害を防ぐことが可能になります。
【主な設置例】
・マンション屋上部
・工場や倉庫のH鋼の内側
・工場や倉庫の屋根のタンク
・ベランダの手すり部分
- 支柱の固定方法
支柱(T型ステイなど)を使い、ワイヤーを張るのが一般的です。支柱の間隔が広すぎると、ワイヤーがたわんで効果が薄れるため、間隔は1.5メートル程度が推奨されます。

ビス、パイラック、ホースバンドを使用することで、どんな被害場所にも取付が可能です。ビスで固定する方法が基本ですが、細いパイプの上など、場所や設置方法に応じてホースバンドやアングルなどの金具を使用します。

工場の天井部などのH鋼の内側への侵入を防ぎたい場合にはくの字型ステイの使用がおすすめです。

- ワイヤーの張り方とスプリングの役割
ワイヤーがピンと張られていることが重要です。たるみがあると鳥が着地できてしまうため、定期的な点検も必要です。
フジナガのワイヤーにはスプリング(バネ)が組み込まれています。これは、季節による温度変化で伸縮すると、破断する可能性が高くなるため、それを防ぐ重要な役割があります。また、鳥がワイヤーを踏みつけた際に、張力で弾くこと効果もあります。
防鳥ワイヤーの効果的な活用法
防鳥ワイヤーを活用することで、建物全体の鳥害リスクを低減する効果があります。


- 糞害や巣作りを防止できる
屋上やベランダの端部に設置することで、鳥が止まらなくなり、窓などへの糞害や営巣を防ぎます。
- 鳩にとって安心できない環境を作る
特に鳩は端部に止まって周囲を監視し、巣作りに適した場所、餌場、水飲み場を探すのと同時に、トンビ、カラス、タカなどの天敵が来ないか安全を確認する習性があります。屋上の端部をワイヤーで塞ぎ止まれなくすることで、鳩は屋上の内側にしか止まることができず、そこは死角が増えるため安心できない環境に変わります。
- 建物の意匠性、デザイン性を維持できる
ワイヤーは目立ちにくく、建物の美観を損ないません。新築ビルやマンションなど、意匠性やデザイン性を重視する建物で特に重宝されます。
防鳥ワイヤーの選び方
防鳥ワイヤーを選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。


- 設置場所の環境
沿岸部や潮風が強い場所、錆びやすい環境では被膜ワイヤーがおすすめです。景観を重視する場合は、壁面の色に合わせた被膜ワイヤーや、目立ちにくい無被膜ワイヤーを選びましょう。
- ワイヤーの太さ
一般的には1mm前後のステンレスワイヤーが主流です。太すぎると目立ち、細すぎると強度が心配です。
- 支柱の間隔
支柱の間隔は1.5メートル程度が効果的です。設置場所の幅に合わせて調整しましょう。
- 施工性
DIYで設置する場合は、被膜ワイヤーが扱いやすいでしょう。プロに依頼する場合は、無被膜ワイヤーも選択肢に入ります。
DIYと業者依頼のメリット・デメリット
防鳥ワイヤーをDIYで設置する場合、結束バンドでワイヤーを固定する程度であれば、手軽に低コストで設置が可能ですが、T型ステイやビスでの固定は難易度が上がります。また、ワイヤーがピンと張られていないと効果が薄れるため、プロの施工が推奨されます。
業者に依頼する場合、設置場所の選定や施工方法の提案、保証やアフターサービスも受けられるため、安心して対策を進められます。
当社では、お問い合わせ頂いたご担当者様に無料で「鳥害対策製品 取り付けガイドブック」を送付しています。

当社オリジナルの鳥害対策商品(BF3/BSシリーズなど)を工法別に紹介しており、商品の施工法が一目でわかる仕様なので、新築・改修工事の鳥害対策に役立ちます。
防鳥対策のトレンド
近年、新築のビルやマンションに、最初から防鳥対策を組み込む場合は、意匠性と防鳥効果を両立できる防鳥ワイヤーか電気ショックの装置が主流となっています。
また、ワイヤーは、鳥害が起きる前に建物の端部に止まるのを防ぐために、ネットは鳩が巣を作りやすそうなバルコニーなどへの侵入防止に、というように場所や目的に応じた使い分けも進んでいます。
ワイヤーを20〜40mm間隔で縦に張り巡らせる、「フェンスタイプ」という施工方法もあります。これは見栄えを重視する建物で主に用いられていた施工方法ですが、最近はより美観性、耐久性、強度に優れたオールステンレスネットで代用されることが増えています。



防鳥ワイヤーは意匠性を重視する建物の対策に最適
鳥害対策の中でも、防鳥ワイヤーは、特に鳥が建物の端部に止まるのを防ぐのに効果的な方法です。目立たず、景観を損なわないので、意匠性やデザイン性を重視する建物に最適で、長期間使用できるのでコストパフォーマンスにも優れたアイテムです。
設置場所や環境に合わせてワイヤーの種類や設置方法を選び、必要に応じてプロの力を借りることで、より高い防鳥効果が期待できます。
フジナガは、鳥害対策専門業者としての豊富な経験をもとに、対策したい鳥の大きさや種類、被害状況、建物の構造に合わせて最適な防鳥ワイヤーの設置方法を提案いたします。高所作業や複雑な構造の建物でも、安全かつ、隙間なく確実な施工が可能です。
また、アフターサービスとして設置後も定期的な点検やサポートを行っており、万一のトラブルにも迅速に対応し、安心・安全な鳥害対策を実現します。鳥害でお困りの際は、ぜひご相談ください。

