鳥が航空機などに衝突する「バードストライク」をご存じでしょうか。2024年12月に韓国で起きた旅客機事故の原因ではないかと報じられたこともあり、にわかに注目を集めています。航空機の安全運航を脅かすバードストライクはもちろん、飛行場の格納庫における鳥害対策も航空業界における重大な課題です。
今回は、飛行場の格納庫で取り入れることのできる対策について、鳥害対策の専門業者の視点で詳しく解説します。

飛行場の格納庫で鳥害対策が必要な理由

格納庫とは、航空機を保管するために格納する施設のことです。飛行場に隣接して設けられ、航空機を安全に保管するだけでなく、修理やメンテナンス作業も行われます。空港の格納庫のような民間機向けから軍事用途まで、全国各地にさまざまな格納庫があります。

当社が格納庫での鳥害を相談される内容として多いのは、ドバト(以下:ハト)による被害です。主に、格納庫の天井面の鉄骨にハトが止まり、床や航空機に糞を落とす糞害が発生しています。 

格納されている航空機にハトの糞が付いてしまうと、表面塗装や格納庫自体を腐食させ、深刻な被害を及ぼす可能性があります。また、糞の堆積は施設の美観を損ね、悪臭を放ち、掃除も大変です。格納庫で働く作業員の作業効率やモチベーションに影響するだけでなく、糞によるアレルギーや感染症などの健康被害も懸念されます。

⇒鳥の被害についてはこちらでも詳しく解説しています。

空港敷地内でハトによる鳥害が発生しやすい理由

日本の空港敷地内の建物で発生する鳥害の多くがハトによるものです。空港は郊外にあることが多く、ハトが集まりやすいエサ場や水辺が豊富にある周辺環境も影響しているでしょう。
また、格納庫に限らず、ターミナルビルや貨物倉庫、駐車場など、空港内には大規模な建物が集積しています。大きな建物はハトにとっても目印になるのか、鳥害対策の専門業者としての経験上、大きい建物ほどハトが集まりやすい傾向にあると感じます。

特に格納庫などは大きなエンジン音を立てる航空機が近くにあり、居心地がよいとは思えませんが、それにも関わらず近くに身を寄せるということは、自分に害がないとわかってしまえば大きな音は関係なく、むしろカラスなどの天敵が入ってこないというメリットもあり、ハトにとって居心地がよい場所となっていると考えられます。 

飛行場の格納庫の鳥害対策は防鳥ネットが有効

以下リンクでも詳しく解説していますが、ハトが営巣してからでは対策が難しいので、物理的にハトを寄せ付けない環境作りを行うことが一番の解決策です。

⇒ハトの生態、習性についてはこちらでも詳しく解説しています。

個人宅のベランダなどでは、ハトがその場に着地することを防ぐバードピンやバードワイヤーが有効ですが、航空機を保管する格納庫はかなりの広さを有するので、バードピンやバードワイヤーを設置しようにも対象箇所が多すぎてかなり予算がかかり、現実的ではありません。
また、格納庫の出入り口は当然ながらかなり間口が広いので、ネットで覆うことは不可能です。当社が空港などの格納庫に最も適していると考えている対策は、天井面全体に防鳥ネットを貼り、天井の鉄骨への着地や営巣を物理的に防ぐことです。

フジナガでは、以下のような特長を持つ防鳥ネットを使用しています。

  • ハトの物理的侵入を防除
    天井部全体に設置することで、ハトの物理的侵入を確実にシャットアウトします。特殊取付具を使用することで取付先を選びません。隙間無く取付られるので、クリーンな空間を確保できます。巣への執着が強いハトも確実に撃退します。
  • 鳥にも人にも優しいネット
    鳥の種類ごとに目巾が設計されているので、鳥が絡む事はありません。また非常時にも人間の力で破くことができ、消防上の問題もクリアしています。ハトに対しては目幅15mm~50mmのネットが適しています。
  •  耐久性・美観に優れている
    極細で軽いネットで取付箇所の圧迫感を解消し美観を損ねません。
  • 難燃タイプの防鳥ネット
    万が一の火災事故などに備え、火災時にも燃え広がりにくい、難燃剤が混合されている防鳥ネットを使用します。

BF3バードネット 15

BF3バードネット 50

近年問題視されるバードストライクと国の対策

鳥が航空機や列車、建造物などに衝突する事故を「バードストライク」といいます。特に航空機との衝突は安全な運航を脅かすだけでなく、航空会社や空港にとって大きな損害となるため、近年問題視されてきました。2024年12月に起きた韓国旅客機事故もバードストライクが原因ではないかと指摘されたことは記憶に新しいのではないでしょうか。

国土交通省によると、航空機へのバードストライクの発生件数は日本の空港だけでも年間1000件を超えており、航空機の風防や本体への衝突はもちろん、ジェットエンジンの空気採り入れ口から鳥を吸い込むケースも多くなっています。鳥が大型であるほど衝撃は大きく、エンジン内が損傷し、最悪の場合は停止することもあります。エンジンの分解修理費用は数千万円に上ることもあり、エンジンが損傷すれば航空機は空港へ引き返す必要も生じ、その損害額は毎年国内だけでも数億円に上るといわれています。

国土交通省は、航空機の安全運航を確保するため、以下のようなバードストライク対策や体制の強化に取り組んでいます。

  • バードストライク情報の収集
  • 空港における防除作業
  • 鳥衝突防止対策検討会の開催
  • 鳥類の生態に関する監視体制の強化
  • 防除体制の強化(夜間における鳥防除体制の強化)
  • 指導体制の強化(全国空港の鳥防除レベルの向上)

参考サイト:航空機への鳥衝突(バードストライク)防止に向けた取組 – 内閣府

航空機のバードストライクは、離着陸時のように比較的低速度で、高度が低いときに多発します。つまり、空港敷地内に鳥が営巣していると、バードストライクが起きる可能性が高くなるともいえます。格納庫をはじめ、空港敷地内の建物に鳥が住みつかないよう対策をすることが、バードストライク対策にもつながります。

バードストライクや格納庫での鳥害は損失が大きい!
早期対策と定期的なチェックを

当社は鳥害対策の専門業者として、長年にわたり全国の空港や格納庫への対策を行ってきた実績があります。
その経験から言えることは、航空業界における鳥害に対する認知度や課題意識は 10年前に比べると確実に上がっており、近年は大小問わず全国の多くの空港や飛行場で何らかの鳥害対策がなされているということです。

前述の航空機事故の影響もあり、今後はより鳥害対策が強化されていくことでしょう。
飛行場の格納庫での鳥害やバードストライクによる被害は、起きてしまった時にかかる損害が非常に大きいため、多少費用がかかっても、未然にリスクを回避するための早期対策をしっかり講じることをおすすめします。鳥は賢く適応力が高いため、対策の定期的なチェックや見直しも重要です。

フジナガは、「鳥と人との共生」を社是とし、鳥を傷つけない鳥害対策アイテムの開発や、鳥の生態保全を前提とした鳥害対策の推進に取り組んでいます。

下記のように全国の空港や格納庫への鳥害対策実績も多数あります。

鳥害にお困りの際はぜひご相談下さい。