鳩による被害は、人々の生活環境、健康、そして建物の保全に深刻な影響を及ぼします。効果的かつ持続可能な鳩よけ対策を講じるためには、鳩の生態と習性を理解し、それに基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。

この記事では、鳩による被害の実態から、鳩よけ対策の種類、具体的な実践方法や失敗事例まで、鳥害対策の専門業者の視点から詳しく解説します。

鳩よけ対策の重要性と基本知識

■ 鳩による被害の実態

近年、都市部、郊外を問わず、日本全国で鳩による被害が深刻化しています。ベランダや屋根、工場・倉庫、商業施設など、さまざまな場所で鳩の糞害や巣作りによる衛生面・景観面の問題が多数報告されています。鳩の糞は景観を損なうだけでなく、悪臭や建物の腐食を引き起こす原因となります。さらに、病原菌を媒介することで健康被害のリスクも指摘されており、早急な対策が求められています。

⇒ 代表的な4大鳥害についてはこちらでも詳しく解説しています。

■ 鳩の生態と習性を理解する

鳩は非常に学習能力が高い鳥です。下記のような居心地の良い場所を見つけると執着しやすい習性があります。

・カラス、ワシ、タカなどの外敵が少ない地域
・見晴らしがよく、外敵から身を守ることができる場所
・公園や神社など、餌や水が手に入りやすい場所
・巣作りや羽休めがしやすい建物の隙間や高所
・エアコンの室外機周辺など、水があり安定した温度の場所

鳩は一度安全だと認識した場所には何度でも戻るため、初期段階での対策が有効です。鳩の行動パターンや好む環境を理解したうえで、的確な対策を講じることが鳩よけを成功させる第一歩といえるでしょう。

⇒ 鳩の生態についてはこちらでも詳しく解説しています。

鳩よけ対策の種類と選び方

■ 物理的対策:鳩よけネット(バードネット)やバードピン(スパイク)の効果

物理的対策は、鳩が止まったり巣を作ったりする場所を遮断する方法です。代表的なのは「鳩よけネット(バードネット)」と「バードピン(スパイク)」です。
鳩よけネット(バードネット)は複雑な構造や広範囲の開口部にも対応できるため、鳩の侵入を防ぐ手段として非常に効果的です。昔から野球場やゴルフ場で使用されている緑色の防球ネットが鳥よけとして代用されていましたが、近年ではより目立たない鳥よけ専用のネットも市販されています。

⇒ 鳩よけネットについてはこちらでも詳しく解説しています。

バードピン(スパイク)は、ホームセンターや100円ショップでも入手でき、手軽に取り組める対策のひとつです。間違って猫よけの製品を購入してしまう人も多いようですが、猫よけ製品はトゲの長さが短く、鳩が簡単に止まってしまうため効果がありません。鳩の対策にはピンの長さが10cm程度のものが効果的です。

⇒ バードピンについてはこちらでも詳しく解説しています。

■ 化学的対策:忌避剤の利用法

化学的対策としては、忌避剤(ジェルやスプレー)が挙げられます。
忌避剤は、鳩が嫌がるベタつきや匂い、味を利用し、鳩に「不快な場所」と学習させ、寄り付かせないようにするものです。ハッカ系の匂いのするスプレータイプも市販されていますが、当社の経験上、匂いよりも粘着性のあるジェルの方が忌避効果は高いと考えています。羽や足にベタベタとジェルが付着することで鳩が不快感を覚え、再びその場所に寄り付かなくなります。ただし、設置場所や用途によっては、商品や建物への付着リスクを考慮して使用する必要があり、専用のカップに入れて設置することが推奨されます。

⇒ 忌避剤についてはこちらでも詳しく解説しています。

■ 音や光を使った対策

CDやキラキラテープなどの反射材や、音・光を発する装置も一定の効果があります。特に被害が初期段階にある場合、鳩が警戒して寄り付きにくくなります。ただし、鳩は学習能力が高いため、同じ刺激を継続的に受けるとすぐに慣れてしまう上に、危害が及ばないとわかると効果は薄れていきます。また、音や光の装置は周囲への迷惑やクレームの原因になることもあるため、設置場所によっては注意が必要です。

鳩よけグッズの具体的なおすすめ

■ 初心者向けの簡単な鳩よけグッズ

個人で手軽に入手でき、簡単に設置できる鳩よけグッズは以下の通りです。

・キラキラテープやCDなどの反射材
・風車やカラスの人形など動きのある置物
・釣り糸(テグス)を張る
・市販のバードピン
・市販の忌避スプレー

これらはコストも低く、設置も簡単なため、被害が軽微な初期段階での導入に適しています。ただし、効果が一時的であるため、鳩が寄り付く前の対策としては有効です。

■ 効果的な鳩よけネットの選び方

ネットは、鳩の侵入を根本的に防ぐ最も確実な方法の一つです。選ぶ際のポイントは以下の通りです。

・1本の線でできていて(単線構造)、鳥が絡まりにくいネットを選ぶ
・商業施設や観光地など人の利用の多い場所では建物の外観を損ねないネットを選ぶ
・強風、積雪などの厳しい環境下で使用する場合は強度や耐久性に優れたネットを選ぶ
・火気や熱源のある工場など、強度や防炎性が求められる場所では耐火性に優れたネットを選ぶ

市販のネットでも一定の効果はありますが、耐久性、美観、施工のしやすさといった点では、防鳥対策専用に設計されたネットの使用がより理想的です。特に高所や複雑な形状の場所への設置は危険を伴います。また、施工精度が低い場合、かえって鳩が内部に侵入し、外敵から身を守るための「安全な空間」として定着してしまうリスクがあるため、ネットの設置は専門業者に依頼することをおすすめします。

■ プロが推奨する高性能鳩よけアイテム

鳥害対策の専門業者が取り扱う鳥よけアイテムは、鳥の生態や被害の実態をもとに開発されたものであり、対策したい鳥の大きさに適したピンの長さや網目、設置場所に応じた素材が選べる点が利点です。以下にフジナガが鳥害対策のプロとして推奨する高性能鳩よけアイテムを紹介します。

  • 抜群の耐久性と美観性に優れたオールステンレスのバードネット
    オールステンレスのバードネットは耐久性・対候性に優れ、長期間効果を発揮します。さらに、美観を損ねないスタイリッシュなデザインなので、観光地や寺社仏閣など、ネットを目立たせたくない場所での設置に最適です。
    BF3バードネット オールステンレス50(オールステンレス防鳥ネット)
  • 耐久性に優れたステンレス製のバードピン
    ステンレス製のバードピンは耐久性・対候性に優れ、長期間効果を発揮します。土台もステンレス製でシンプルなデザインなので、看板上など目立つ場所での設置にもおすすめです。設置時には専用バンドとの併用が推奨されます。BF3バードピン(オールステンレススリム)
  • 安全性に優れた鳥よけ専用バードピン
    特にお子様がいる家庭での使用や、手すりやバルコニーのような人の手が触れる場所に設置する場合は、樹脂タイプのものがオススメです。フジナガのバードピンは、樹脂タイプだけでなくどのタイプも鋭利なピンではなく、鳥や人を傷つけないよう先端がとがっていない形状なので安心して使用いただけます。
    BF3バードピン(樹脂タイプ)
    BF3バードピン 防鳥ピン
  • ベタつきと匂いで高い忌避効果のある鳥よけ専用忌避ジェル
    フジナガのバードジェルは、鳥が嫌がる植物臭(嗅覚)、忌避剤の見た目による危機感(視覚)、ジェルが付着した時の不快感(触覚)、付着したジェルをくちばしで取る時の嫌な味(味覚)、4つの感覚に作用し、鳥が嫌悪感を抱くよう作られた忌避剤です。植物エキス(食品添加物)と保湿剤(医薬品添加物)を使用しているため、鳥はもちろん、人や他の動物への悪影響はありません。
    BSバードジェル(防鳥忌避剤)
  • 高耐久性の結束バンド
    効果的な鳩よけ対策には、鳩が止まりやすい場所や巣作りしやすい場所を把握することが重要です。「最近、鳩の糞が増えてきた」と感じたら、巣を作る場所として鳩に狙われているサインです。なるべく早めに対策しましょう。特に以下の場所は鳩が寄り付きやすいため、優先的に対策を行いましょう。

鳩よけ対策の実践方法

■ 設置場所の選定と注意点

効果的な鳩よけ対策には、鳩が止まりやすい場所や巣作りしやすい場所を把握することが重要です。「最近、鳩の糞が増えてきた」と感じたら、巣を作る場所として鳩に狙われているサインです。なるべく早めに対策しましょう。特に以下の場所は鳩が寄り付きやすいため、優先的に対策を行いましょう。

・マンションのベランダ、手すり
・エアコンの室外機周辺
・屋根の庇や隙間
・屋根のソーラーパネル周辺
・工場や倉庫の鉄骨の隅、シャッターボックスの上
・商業施設の駐車場や看板周辺

■ 効果的な設置方法とメンテナンス

鳩の被害から安全に長期間に建物を守るためには、適切な設置を行うことと、定期的なメンテナンスが重要です。

バードネットは、隙間なくしっかりと固定することが重要です。中途半端に設置すると、「鳩を外敵から守る空間」となり、かえって被害が増えることもあるため、プロによる施工が推奨されます。施工後に新たな侵入経路ができていないかこまめに確認しましょう。また、人の出入りが多い場所には開閉できるカーテンレールタイプやのれんタイプのネットなど、最適な設置方法を選択することも重要なポイントです。

バードピンは手すりや高所など、人が触れない場所に設置し、落下防止のために高耐久の結束バンドを使用します。

忌避剤は一定の期間で目減りするため定期的な補充が必要です。特に鳩が頻繁に来る場所では効果が薄れてきたタイミングで追加塗布を行いましょう。

フジナガでは、施工、製品、メンテナンスに対し最長5年間の保証を提供しています。万一、設置後に鳥の侵入が確認された場合やネットの破損があれば、無料で改善処置を行います。

フジナガの保証

地域別の鳩よけ対策

■ 都市部での鳩対策

特に都市部では外敵が少ない環境であることに加え、建物が密集し、鳩が身を隠しやすい環境が多いため、鳩による被害が拡大しやすくなります。高層マンションでは、2~15階程度の中層階で鳩の被害が多い傾向があります。バードネットやバードピンの設置が有効ですが、外観や景観への配慮も必要です。また、音や光を使った対策は近隣住民への配慮から慎重に行う必要があります。

■ 郊外や農村部での鳩対策

郊外や農村部では、建物自体が少ないため、規模が大きく目立つ建物や高さのある建物、特に大型倉庫や物流センターなどで被害が集中します。また、戸建て住宅では、屋根やソーラーパネルの隙間に鳩が巣を作るケースが多発しています。これらの場所では「鳩が好む場所」であると認識し、鳩が寄り付く前に忌避剤やバードピンなどで早期対策を行うことが重要です。

鳩よけ対策の失敗事例とその教訓

よくある失敗事例や成功事例から教訓を学び、対策に活かすことも大切です。

■ よくある失敗とその原因

・ネットの隙間から鳩が侵入し、「外敵から身を守れる安全な空間」と認識され被害が拡大しまう
・バードピンの設置不良により落下し、車や人を傷つけてしまう
・テグスやネットの取り付け位置や方法が不適切で、効果が出ない
・忌避剤の付着による商品や衣類の汚損
・子どもが触れる場所にバードピンを設置し、怪我をさせてしまう
・音や光を使った対策に、近隣住民から「うるさい」「まぶしい」といったクレームが発生

これらの失敗は、「設置ミス」「場所選定の甘さ」「使用する資材の選定ミス」「メンテナンス不足」が主な原因です。特にネットの設置ミスは鳩の被害を防ぐどころか逆に被害を拡大させてしまうため、一番避けたい失敗といえます。プロによる正確な施工と定期的な点検が、失敗を防ぐカギとなります。

■ 成功事例から学ぶ効果的な対策

・専門業者による隙間のないネット施工で完全な侵入防止に成功
・被害が軽微な段階でピンや忌避剤を設置し、鳩の定着を未然に防止
・高耐久性の資材を使用し、長期間メンテナンスフリーを実現
・施工前に周囲環境や鳩の行動パターンを調査し、最適な対策を選定

これらの成功事例に共通するのは、被害が出てからではなく異変に気づいたらすぐ行動する「早期対応」と、「専門的な知識・技術」に基づいた対策を実施することにあります。

鳩よけ対策には「持続可能な鳩よけ環境の構築」が重要

鳩は我々の生活空間に適応し、高度な学習能力でさまざまな対策に慣れてしまう賢い鳥です。鳥害だけを見れば困った存在に思えますが、生態系においては自然環境を維持するために重要な役割を果たしています。大切なのは、鳩の被害が深刻化する前の初期段階で適切に対策を講じ、「ここは居心地が悪い」と鳩に感じさせ、人間との棲み分けを図ることです。こうした工夫が、人と鳩が共生できる環境づくりにつながります。

また、鳩よけ対策は一度で終わるものではなく、継続的な見直しやメンテナンスが不可欠です。以下のようなポイントに留意し、持続可能な鳩よけ環境を構築することが、長期的な被害の回避に直結します。

■ 持続可能な鳩よけ環境の構築のポイント

・鳩の生態や行動パターンを理解し、被害が起きやすい場所を特定する
・鳩の糞の痕跡を見逃さず、初期段階での対策で鳩の定着や巣作りを未然に防ぐ
・鳩の侵入を防ぐ物理的対策に加え、音や光を使った化学的・感覚的対策を補助的に組み合わせる
・専門業者の知見やノウハウを活用し、確実な施工と定期点検を行う
・資材や設置方法を厳選し、長期間効果が持続する環境を整える

フジナガは、鳥害対策専門業者としての豊富な経験をもとに、対策したい鳥の大きさや種類、被害状況、建物の構造に合わせて最適な防鳥対策を提案いたします。高所作業や複雑な構造の建物でも、安全かつ、隙間なく確実な施工が可能です。
また、アフターサービスとして設置後も定期的な点検やサポートを行っており、万一のトラブルにも迅速に対応し、より安全で効果的な鳩よけ環境の実現に努めています。鳥害でお困りの際は、ぜひご相談ください。